宇宙エレベーターの最上階は必要以上に猛スピード―宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(11)

 宇宙エレベーターと人工衛星の違いといえば、「人工衛星は飛んでいるけれど宇宙エレベーターは地上と『ひも』でつながっている」というところです。

 「ひも」でつながっている以上、宇宙エレベーターはどの地点をとっても、地球と同じように1星日で地球の周りを1回転するのです。(当たり前、といえば当たり前ですが)

 放っておいても地球と同じように1星日で1回転する静止軌道ならばあまり問題はないのですが、地球からの高度が約10万キロメートル、と言われている宇宙エレベーター最上階の場合はどうでしょうか?

 もし人工衛星だったらば、「宇宙第一速度は高度が上がるほど遅くて済む」わけですから比較的ゆっくりしたスピードで動いています。ちなみに、この場所にある人工衛星はせいぜい秒速2キロメートル、時速にして7,000キロメートルくらいで動いています。

 ところが、地表から100,000キロメートルの距離にある宇宙エレベーター最上階は、地球の周りの約17倍の距離を、地球と同じように1星日で回らなければいけません。
 そこから計算すると、宇宙エレベーター最上階は秒速7.8キロメートル、時速にすると約28,000キロメートルもの超高速で動いていることになります。

 人工衛星の約4倍、という一見「ムダに速い」速度で動いているわけですから、周りの衛星とぶつからないような交通管制は必須になりますね。

 また、この「ムダに速い」スピード故に、火星や月へ行く宇宙船の発着場としての利用価値も上がるのです。
 何せ、この高度での第一宇宙速度の4倍のスピードで動いているわけですから、ちょっとした力を加えてあげるだけで地球の引力を振り切る第二宇宙速度に達することができますよね。

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地球の引力を振り切る第二宇宙速度、それから・・・―宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(10)

先日ご紹介した「砲台から砲弾を射出するイメージ図」再び登場です。

第一宇宙速度
この図はWikipediaの「宇宙速度」の説明から引用したものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%80%9F%E5%BA%A6

以前のご説明で「(D)と(E)は余談になるけれど・・・」というお話をしましたので、今日はその余談です(笑)。

第一宇宙速度で打ち出された場合、人工衛星となって地球の周りを周り続けます(C)。

第一宇宙速度より少し速い速度で打ち出された場合は楕円を描くような動きをします (D)。

しかし、第一宇宙速度よりもかなり速い速度で打ち出された場合、地球の引力を振り切って地球の外に飛び出します(E)。

この地球の引力を振り切って外に飛び出すために必要な速度のことを「第二宇宙速度」といいます。

第二宇宙速度第一宇宙速度の約1.4142倍となります。(なんか見覚えのある数字・・・と思った方はスルドイ!正確に言うと√2倍になります。)

さらに想像を膨らませると、第二宇宙速度をさらに超えるようなスピードで打ち出せば、地球が公転している太陽系からの脱出も夢ではありません。
この速度を「第三宇宙速度」といいます。

太陽の引力等を勘案し、地球表面近くの第三宇宙速度は秒速約42キロメートルと言われています。
1秒で東京から茅ヶ崎のちょっと手前くらいまでひとっ飛びできるくらいのスピードが出せれば(それにしてもすごいスピード!)、太陽系の外に飛び出すこともできます!

こんなところイヤだ!遠くに行ってやる!とういのならば、大きなパワーがなければ無理なんですね(^-^;)。

 話を元に戻します。同様に、私たちのいる太陽系が属する「銀河系」の引力を振り切って外に出る「第四宇宙速度」、さらには銀河系の集まりである「銀河集団」を振り切って外に出る「第五宇宙速度」というものも理論的に考えられています。

 もっと言うと、銀河集団を振り切ってさらに宇宙そのものを振り切って脱出する「第六宇宙速度」なんてものも考えられるかも知れませんが、ちょっと想像つかないですよね。

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第一宇宙速度は高さによって変わる―宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(9)

もし、地球の表面近くから砲弾を飛ばして地球の周りを回り続けるようにする(=引力と遠心力が釣り合う)には、初速にして秒速7.9キロメートル、時速にして約28,460キロメートルで砲弾を飛ばす必要があります。(空気抵抗などは考えない、理論的な数値です)

地球の周りの長さは約4万キロ、と言われています。ですから、地球の表面近くで人工衛星を打ち上げた(?)としたら、約90分で地球を1周してしまうのです。

ところが、地上から見ると一点にとどまっているように見える「静止軌道」は、地球の表面と同じ速度=1星日(23時間56分4秒=86,164秒)で地球の周りを1周します。

つまり、第一宇宙速度は地表からの高さによって異なってくるのです。そして、高さが高くなればなるほど、第一宇宙速度は遅くなっていきます。

ちなみに、地表から約36,000キロメートルの場所を1星日かけて1周するスピードは、秒速約3キロメートル、時速にすると約11,070キロメートルになります。
(思ったより速いですか?!何せ静止軌道の長さは地球1周の6.6倍。その距離を1星日で回るわけですから、遅いといってもそれなりのスピードになっちゃいます。)

ともあれ、高いところにあれば、多少遅いスピードでも落ちずに地球の周りを1周できるんですね。

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すごい力で「もの」を投げたら地球1周できる?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(8)

 少し難しい話もありましたので、今日はもう少しイメージしやすい別の話をいたします。

 例えば、子どもがボールを投げたとします。少し飛んでいって落ちますよね。
 同じボールを大人が投げたとします。子どもより力が強いので、もう少し遠くまで飛んで落ちるでしょう。
 さらに、ボールを鉄砲のようなものに詰めてバーン!と撃ったらどうでしょう?人の力より遥かに大きな力が働き、ボールはさらに遠くに飛ぶでしょう。

 この発想を膨らませて、
「ものすごくパワーのある大砲にボール詰めて撃ったらば、ボールは落ちずに自分の所に戻ってくるのではないか?」―なんて考えたりして(笑)。

 でも笑い事ではありません!実はこの考え方こそ、人工衛星をきちんと地球の周りを回すための物理的根拠である「宇宙第一速度」の基本です(^-^)。


簡単な図でご説明します。砲台から砲弾を射出することをイメージしてください。
第一宇宙速度
この図はWikipediaの「宇宙速度」の説明から引用したものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%80%9F%E5%BA%A6

地表から水平に打ち出された砲弾は重力に引かれて地表に落下します (A)。
射出する際のパワー(速度)を上げても、いつかは地表に落下するでしょう (B)。

しかし、ある一定速度で打ち出されたものは、落ちずにずっと回り続けます。
この「ある一定の速度」が「第一宇宙速度」です。
宇宙第一速度で打ち出された場合は人工衛星となって地球の周りを回り続けることができるのです (C)。

これは、砲弾に対する地球の引力(重力)と、砲弾が外に向かう力(遠心力)がつりあっているから回り続けることができるのです。

図の(D)と(E)については余談になりますが、宇宙の神秘?!ということで後日改めてご説明いたします。

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静止衛星の「墓場」がある?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(7)

以前、地球は完全な球形でないため、静止衛星が「いつ見ても同じ地点にとどまり続ける」ためにはスラスター(推力)で位置の制御をしなければならない、とお話しいたしました。

もし、スラスター(推力)の燃料が切れて位置の制御ができなくなった場合、どうなるでしょうか。

スラスターの燃料がなくなった静止衛星(=寿命が終わった静止衛星)は、同じ所にとどまり続けることができなくなり、余計な力に流されながら、最終的に東経75.1度と西経105.3度の位置に集まってゆきます。

そして、この場所が役目を終えた静止衛星がとどまり続ける場所=「静止衛星の墓場」になります。

たとえば日本上空(東経135度)にあげた静止衛星は軌道保持のための推力が無くなればインド上空(東経75.1度)に徐々に動いてゆくことになります。

諸説ありますが、宇宙エレベーターの建設位置としてインド上空(東経75.1度)とメキシコやアメリカ(西経105.3度)上空は、有力な候補地になっています。

静止衛星の墓場、なんてちょっと気味の悪い言われ方をする地点ではありますが、「自然にとどまってくれる建設地」という点から考えると、合理的な場所とも考えられます。

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楕円の軌道に働く力-宇宙エレベーター特別教室(11)

地球は完全な球形でなく、赤道面が膨らんでいるのに対して地球の北極と南極で輪切りにしたとき、上下に僅かに平べったく、極点は赤道よりもほぼ21km地球中心に近い。ちょうど西洋ナシのような形をしていると言われます。

さらに、地球を赤道面で輪切りにすると楕円形をしています。実際には衛星の位置をずらすように働くように色々な外乱が加わっていますが、そのうち主な要因は地球の赤道面が楕円であるために生じています。

地球の赤道面は大体西経11.5度と東経161.9度の方向に長軸を持ち円から65mずれているような楕円です。
ほんの僅かと思われますがこのため、図に示すように静止衛星軌道上で衛星には地球断面の長軸の方向に引っ張るような力が働いて、軌道上に加速することになります。

楕円軌道に働く力

軌道上に引っ張る力が働いて、軌道速度が増えると、ケプラーの法則によって軌道の周期が長くなります。
周期が長くなるということは力が働いて加速するのと逆の方向に軌道がずれるということなので、引っ張る力と逆の方向に軌道がずれることとなります。
この逆も真ですので、軌道は図の力がかかる方向と逆の方向にずれようとします。

この引っ張る力の大きさは、静止衛星の地球上の経度位置に依存します。
そして、図の西経11.5度,105.3度、東経75.1度、そして161.9度の位置ではこのような力が釣り合っています。

このうち地球の長軸の方向西経11.5度と東経161.9度の近くでは軌道はずらす方向に働くので静止衛星は離れてゆくこととなります。
一方、短軸の方向東経75.1度と西経105.3度の位置の場合、軌道のずれは静止衛星の位置を元に戻すように働きます。このためこの位置は静止衛星が離れてゆかない安定な平衡点であることが分かります。

したがって、静止衛星はこのような外乱に対して推力を用いて、高度だけでなく東西方向にも軌道を保持していますが、推薬がなくなると、すなわち、寿命が終わるとこのような外乱によって徐々に東経75.1度と西経105.3度の位置に集まってゆきます。

これが静止衛星の墓場となります。
日本上空(東経135度)に挙げた静止衛星は軌道保持のための推薬が無くなればインド上空(東経75.1度)に徐々に動いてゆくことになります。
だから、メキシコやアメリカ(西経105.3度)とインド上空は軌道保持のための推薬が節約出来るけれども、他の用済みの静止衛星も集まってくるところとなる面白い場所でもあります。

宇宙エレベーターの建設位置として考えると、もっとも自然にとどまってくれる建設地はこの2点ということになります。

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静止衛星がとどまり続ける奇跡の場所-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(6)

実は地球の北極・南極の「縦切り」した面だけでなく、「横切り」した赤道面も、大体西経11.5度と東経161.9度の方向に長軸を持っており、円から65mずれているような楕円形をしています。

陸上のウサイン・ボルト選手なら、きっと5-6秒くらいで駆け抜けられる程度の、ほんの僅かな歪みですが、このわずかな歪みでも静止衛星軌道上では、衛星を軌道とは違う方向に引っ張る余計な力(外乱)がかかる要因になるのです。

ただし余計な力の中には、静止衛星を元の位置に戻すように力が働く奇跡的な地点が2つだけあるのです。
それが東経75.1度(インド上空あたり)と西経105.3度(メキシコアメリカの上空あたり)の位置になります。

この2つの地点は、静止衛星の位置を元に戻すように力が働くため、結果として静止衛星が離れてゆかない安定した平衡点となります。

軌道状にどのような力が働いてこの2つの地点ができるのか、についての詳しい解説は、今日の「宇宙エレベーター特別教室」でご紹介いたします。
ご興味のある方はぜひご覧下さい!

★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(楕円の軌道に働く力)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。

http://www.aeroastro-kait.net/

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1星日と1太陽日のズレ-宇宙エレベーター特別教室(10)

1星日」23時間56分4秒(=86,164秒)は「1太陽日(1日)」24時間(=86,400秒)よりも少ない、というお話をいたしました。

図はP. Fortescue達の編集した「Spacecraft Systems Engineering」からの引用で3カ月間の太陽の周りを回る地球の図です。星日の基準である地球上のP点は、3ヶ月経つと太陽日の基準P>P’>P”と90度くらいずれてくることが分かります。

Spacecraft Systems Engineering

すでに、気象衛星や放送衛星でなじみの深い静止衛星は、軌道周期がちょうど1星日になるように地球の回転と同期する高度にあります。
 静止衛星が1星日で赤道上を軌道運動するときの遠心力と引力とが釣り合う高さは約35,780キロメートル。
地球半径6,380キロメートルの約6.61倍となります。したがって、この高度で赤道上の軌道にあげると、赤道上に留まっているように見えるので静止衛星となります。

ちなみに、赤道と傾くような軌道に挙げた時には、地球の回転と同期して地球表面に8の字の軌跡を書くような「地球同期衛星」となることは、過去の宇宙エレベーター特別教室でご紹介したとおりです。

近く運用される予定の準天長衛星は、軌道をうまく設計することによって、決まった地球上の地域の上空に長時間とどまることができるものです。

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静止衛星が地球を1周するのは1日より微妙に短い?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(5)

少し話が元に戻りますが、「宇宙エレベーターは一日で1回転している静止軌道からつるせればよい」ということでこれまで静止軌道のお話をしてきました。

 今日はその少し細かい話です。
地球上(赤道上)で太陽が真上にくるときから次に真上にくるときまで24時間かかります。
これを私たちは「1日」としていますよね。宇宙学では「1太陽日」と呼びます。
地球は太陽の周りをぐるりと1周(公転)していますが、この「1太陽日」の間にも少しだけ公転しており、太陽を追いかけるために少し余分に時間がかかります。

このために地球が自転するのにかかる時間は、宇宙空間の中では23時間56分4秒(=86,164秒)なのですが、頭上の太陽で考えた1日は24時間(=86,400秒)となり、微妙に長い時間になります。

静止衛星は地球の自転にあわせて動いているので、1日より微妙に短い1星日かけて地球の周りをまわっています。もちろん、宇宙エレベーターの周期も1星日となります。

ざっくり1日ですが、あくまでも「ざっくり」であって、本当は1日より少し短い時間で地球の周りを回る、それが静止軌道上の衛星であり、宇宙エレベーターなのです。

 詳しい解説は、今日の「宇宙エレベーター特別教室」でご紹介いたします。


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静止軌道衛星の軌道保持-宇宙エレベーター特別教室(9)

静止軌道にある衛星は、地球の扁平性や、太陽輻射圧(Fig.1)などの影響を受けてずれ
るためスラスターによって軌道を保持する必要があります。

●21Fig1太陽輻射圧による軌道変動

Fig.1 太陽輻射圧による軌道変動

軌道保持のためには、経度(東西)位置保持、軌道傾斜角(南北)位置保持、そして、離心率補正などがあります。

21shiki.png
●21Fig2経度(東西)方向位置保持の位相空間上の軌跡


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静止衛星にとって、地球の歪みは大問題?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(4)

静止衛星にとって、地球が歪んでいると何が大問題になるのでしょうか?

そもそも静止衛星は、自転している地球上から見ると常に上空に静止して見えるものですよね。
細かい説明は省きますが、もし、地球が完全な球であるならば遠心力と重力が自然に釣り合って、地球の自転速度と同じ速度を持つ軌道を「永久に」得ることが出来ます。

しかし、地球が完全な球形ではないため、遠心力や重力がつりあわず、そのままでは地球の自転速度と同じ速度の軌道を保てないのです。

そのため、緯度(東西)や経度(南北)等に対して位置を保持するために、スラスター(推進するための動力)を使って軌道を保持しなければなりません。

前回、「赤道面が膨らんでいるのに対して地球の北極と南極で輪切りにしたとき、上下に僅かに平べったく、極点は赤道よりもほぼ21km地球中心に近い」というお話をしました。
東京とさいたまの直線距離が約23キロメートルですから、それより短い距離の歪みといえば、地球規模で見ればわずかな歪みではありますが、静止衛星にとってはスラスターを使うか使わないか、に関わる大問題になるのです。

今回の宇宙エレベーター特別教室では、この軌道保持について、図と数式を用いた詳しい解説を行います。
ご興味のある方はぜひご覧下さい!

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地球は完全な球ではない?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(3)

さて、今までとはちょっと違う話をいたします。
地球はボールのように丸い-これ、当たり前のことだと思っていませんか?
確かに地球は丸いです。でも正確に言うと、地球は「完全な球形」ではないのです。

地球は完全な球形でなく、赤道面が膨らんでいるのに対して地球の北極と南極で輪切りにしたとき、上下に僅かに平べったく、極点は赤道よりもほぼ21km地球中心に近いのです。
ですから、わずかではありますが、西洋ナシのような形をしている、と言われています。

さらに、地球を赤道面で輪切りにすると楕円形をしていることもわかっています。

だから何なの?(笑)という話になりそうですが、実は「完全な球形ではなく、わずかに歪んだ形の地球」というのが、静止衛星にとっては大問題なのです。

その大問題とは・・・次回お話いたしますね。


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静止軌道衛星の補償範囲-宇宙エレベーター特別教室(8)

アーサー・C・クラーク氏は「静止軌道状の3つの静止衛星を等間隔で配置して通信電波をリレーすることで地球全体をカバーする通信網が構築できる」といいました。

seisieisei01.jpg



その様子を端的に示したのが、右の(b)図になります。

また、赤道上から高緯度地域までをカバーできるとしたのが、左の(a)図になります。

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静止軌道衛星を最初に提唱したのは小説家?!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(2)

現代の生活でもお世話になっている静止軌道衛星の重要性について、早くから注目していた人がいます。

『2001年宇宙の旅』などの作品で知られるSF作家のアーサー・C・クラーク氏です。

彼は静止軌道上に3つの静止衛星を等間隔で配置して通信電波をリレーすることで、地球全体をカバーする通信網が構築できることを指摘しました。
それが何と1945年!(ちょうど終戦の年ですね)

一昔前に、SFとはいえ小説を生業にしていた人が提唱した話が実現しているのですから面白いですよね。
(もっとも、クラーク氏は豊富な科学的知識に裏打ちされた近未来的でリアルな作風の小説に人気がありますから、なるほど!とも言えますが・・・)

実際に、静止軌道衛星を配置した通信電波は、衛星3機で地球全体を、また赤道上から高緯度地域までをカバーできます。
このあたりの詳しい図解については、今日の「宇宙エレベーター特別教室」にて公開いたします。
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静止軌道の高度を計算する-宇宙エレベーター特別教室(7)

静止軌道とは、もっと物理的に正しい言い方をすると「同期軌道内で、軌道傾斜角がゼロ、離心率がゼロ(=真円)の場合」をいいます。ここにあるものが、結果として地上から見ると静止しているように見えるのです。

静止衛星は、軌道周期Tがちょうど1星日23時間56分4秒 秒になるように地球の回転と同期する高度にあります。

ケプラー


このように得られ、これが静止衛星高度となります。
したがって、この高度で軌道傾斜角がゼロになるように衛星をあげると、赤道上に留まっているように見えるので静止衛星となるのです。

ちなみに、軌道傾斜角が完全にゼロでない場合は、地球の回転と同期し、地球表面に8の字の軌跡を書く地球同期(Geosynchronous)衛星となります。

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静止軌道は既に活用されています!-宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」(1)

これまでしてきた宇宙エレベーターのお話の中に何度も出てきた「静止軌道」。
今日は、その「静止軌道」についての簡単なお話をいたします。

「静止軌道」のもともとの概念は「その軌道に乗ると、地上から上空のある一点にとどまっているように見える」ところをいいます。
(そこが、衛星の回転運動による遠心力と地球の重力とが釣り合っている場所でもあります)
静止軌道上では、地球が自転するスピードと並行して移動しているから、地上から見るとまるで止まっているように見えるのです。


この「一点に止まっているように見える」性質を利用して、現在活用されているものがあります。
それが「静止軌道衛星」です。

静止軌道衛星」なんて言われると難しく感じるかも知れませんが、通信衛星や気象衛星、といえば聞いたことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?!

実際、N-SAT-110や、MTSAT-2といった衛星は、静止軌道衛星として現役で活躍中です。
ちなみにN-SAT-110とはスカパー!の通信衛星、MTSAT-2は気象衛星のひまわり7号のことです(^-^)。

ニュースなどでよくみかける「気象衛星ひまわりからの映像」って、いつでも日本の上空からの雲の様子ですよね。
あれは「ひまわり」が静止軌道上にいるから、いつも同じ映像になるんです。
(逆に「ひまわり」が静止軌道上になくて、あちこちフラフラしていたら気象衛星としての役割が果たせないですよね)

通信衛星だって、常に同じように電波を返してくれないと困りますから、地上から見て同じ場所にとどまっている必要があります。

宇宙エレベーターは少し先の技術になりますが、静止軌道の活用は、すでに私たちの生活に密着した形で進んでいるんですよ。

ちなみに静止軌道とは赤道上で高度約36,000キロメートルのところ、と説明してきました。
正確には、35,780キロメートル、と計算されます。
ケプラーの第三法則を使った静止軌道の高度計算を、今日の「宇宙エレベーター特別教室」にて公開いたします。
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明日からは、宇宙エレベーターをめぐる「宇宙の物理」をご紹介します!

これまで、宇宙エレベーターを実現させるための論点や構想についていろいろなお話をしてきました。

お話の中には、静止軌道や宇宙速度など、簡単な説明だけで素通りしてしまった「宇宙物理」に関するお話がたくさんあります。

明日からは、宇宙エレベーターを考える上で欠かせない「宇宙物理」に関するお話を少しずつしていこうと思います。

本編ではできるだけわかりやすい解説を心がけていますが、もっと詳しく知りたい方向けに、

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完成!KAIT式宇宙エレベーターの全体像-KAIT式宇宙エレベーター構想(7)

ここで、神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻が考えた「KAIT宇宙エレベーター」の全体像をご紹介いたします。
全体はこんな感じ・・・いかがでしょうか?!

KAIT式宇宙エレベーター



宇宙エレベーター構想は、まだまだたくさんあると思います。
みなさんが自由に発想してみた、宇宙エレベーター構想がありましたら、ぜひコメント等で教えて下さい!

こうしたアイデアの積み重ねが、明日のテクノロジーにつながるかもしれませんよ?!

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静止軌道衛星でラクラク無重力体験も-KAIT式宇宙エレベーター構想(6)

静止軌道衛星上では、無重力であることを利用して新しい材料を生み出すなど、生産拠点としての活用が期待されています。

でもそれだけでは夢がない?!
私たちにも体感できるような、例えば無重力体験所を作ってみてはどうでしょうか。

遊園地の絶叫系ジェットコースターが大好き!という方の中には、「高いところからほぼ垂直に落ちるようなとき、体がフワっとする感じがたまらない!」という方が結構たくさんいますね。(特に女性!)
この「フワッとする感じ」が無重力状態です。この一瞬のために何度も長い行列に並ぶのが絶叫系のいいところ、なんて話もちらほら(笑)。

もう少しお金をかけて無重力状態を創り出すとしたら、ジェット機をチャーターしてフリーフォール状態を作り出すことが多いようです。
長くても数十秒程度の無重力体験ですが、実体験したい人はいるみたいですね。

こうしてみると、無重力状態って意外と人気があるのでしょうか(^-^;)
静止軌道上ならばずっと無重力状態です。
しかも、落下するときのGなどを感じずにふんわりと無重力状態を思う存分楽しめます。

ちょっとした遊園地のような使い方もできるかもしれませんね!

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静止軌道上の衛星は無重力状態-KAIT式宇宙エレベーター構想(5)

まず、静止軌道上の衛星について。
静止軌道とは、地球の引力と遠心力がつりあっている場所ですから、ここは無重力状態となります。

例えば、宇宙エレベーター構築のための材料をストックするための場所でもあり、場合によっては材料を加工する工場のような役割を果たすかも知れません。
無重力であることを利用して、地上では作りづらい構築物や材料が生産できる可能性があるからです。

たとえば質量の違うものを混ぜる場合、地上では重いものが下に沈み軽いものは上に浮かびますが、無重力状態では均一に混ぜることができます。これによって新しい薬を作ったり、新しい材料を作り出したり出来ると考えられています。
特に地上では考えられないような合金が創られる、という可能性が十分にあります。

もしかしたら、宇宙で建物を建てるための「風船」の素材になるような、薄くて軽くて丈夫で伸縮性のある素材も、無重力工場で開発され、製品化されるかもしれませんね?!

いずれにせよ、宇宙エレベーターの重要な拠点の一つになるはずです。

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宇宙エレベーター最上階は宇宙船の発着場-KAIT式宇宙エレベーター構想(4)

また、宇宙エレベーターの最上階(先端部分)は、火星や月に行く宇宙船の発着場として最適です。
高度が極めて高いから効率が良い、というだけではありません。

地上の物体が地球の重力を離れて宇宙に脱出出来る速度(「地球脱出速度」または「第二宇宙速度」と言います)は秒速約11.2キロメートルです。

ところが、10万キロメートルの軌道を飛んでいる衛星では、その軌道上から宇宙に飛び出すための速度(=高度10万キロメートルでの脱出速度)は秒速約2.8キロメートルで済みます。

地上から約10万キロメートルも離れた宇宙エレベーターの最上階(静止軌道とひもでつながっている)は、秒速約8キロメートルという非常に速い速度で回っています。
ちなみに地球表面の赤道上は秒速約0.5キロメートルで回っていますから、宇宙エレベーターの最上階は地上の約16倍の早さで回っている、ということになります。

つまり、地上10万キロメートルの軌道上から必要な脱出速度(秒速約2.8キロメートル)の約3倍もの速度で動いているのです。だから、先端からは楽々宇宙へ脱出出来ることになります。
その回転速度を利用して、勢いよく宇宙船を射出すれば、地上からロケットを打ち上げるよりも効率が良いのです。
(もちろん、エレベーター先端まで上げるためにエネルギーを使っていますが、一度に運べる人やもののボリュームを考えると効率がよいと思います!)

火星


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静止軌道より高い場所は上下が逆に?!-KAIT式宇宙エレベーター構想(3)

静止軌道より高い場所にいくと、地球の引力より遠心力のほうが高くなります。
結果として、引力とは逆の方向の力が働きます。

つまり、地上から見ると、静止軌道より高い場所にいる人は上下が逆になるのです。
その場所にいる人は「逆だ」とは思わないかもしれませんが、地上とは全く違う景色を見ることになります。

もし、宇宙エレベーターの最上階部分にガラス張りの露天風呂を作ってみたらどうなるでしょうか?

地上のイメージだと「眼下に広がる地球を見ながらのんびり入浴」・・・ですが、ここは引力と逆方向に力が働いている世界。
ですから頭の上に地球を見ることになります。

頭上に青い地球を見ながら入るお風呂、地上では想像しづらいかもしれませんが、かなり壮観でしょうね!

宇宙エレベーターにガラス張りの露天風呂


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低重力下での建物の作り方-KAIT式宇宙エレベーター構想(3)

低重力下での競技場やシャボン玉風呂のお話をいたしましたので、もう一つ、地上では想像しづらいお話をいたしましょう。

一口に「競技場をつくる」「保養所をつくる」といいますが、かなりの大きさになることは間違いありません。
大きな建物(構築物)を宇宙で作るには、どうすればよいでしょうか?

低重力の下では、理論的には「風船」のようなものを宇宙に持って行ってプウーと膨らませれば、とても大きな球形の建物を造ることができます。
薄く軽くて丈夫で伸縮性のある材料が出来れば、地上で建物を建てるよりずっと楽に競技場や保養所をつくることも可能なんですよ。

もちろん、その中で飛び回ったり、生活したりできます。
スパ施設や運動できる公園を併設した保養所などの大きな施設だってつくることができます。

また、回復具合にあわせて重力を変えながら生活できるリハビリ施設などは、高度を変えていくつか作る必要がありますが、意外と簡単につくることができるかもしれませんね。

ちなみに、宇宙空間で「風船」を膨らませて構築物をつくる技術は、「宇宙インフレータブル技術」といわれています。
これは「宇宙テザー技術」(宇宙で「ひも」を伸ばす技術)と並んで、宇宙最先端技術の一つと言われています。

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体の弱った人にも優しい低重力空間-KAIT式エレベーター構想(2)※3/11追記

また、重力が小さいことを利用して、健康な人だけでなく、足腰が弱って地上ではうまく歩けない人向けに低重力保養所をつくる、というのもいいかもしれません。

宇宙エレベーターでは、体の弱った人でも徐々に宇宙に行くことができるので、低重力保養所に行って暮らせることになれば松葉杖もいらない、寝たきりにもならないぴんぴん動ける楽々の生活が待っているのです。

例えば、健康な人が脚を骨折した場合、元通りの生活を送るためにはリハビリが欠かせません。が、(経験された方はご存じかとおもいますが)この「リハビリ」がとっても大変!

歩くためには、自分の体重(数十キログラム)を脚で支えることが第一段階。
ただでさえ絶対安静で脚が固まってしまい、さらに筋力が衰えているので、立つことさえ難しく、しかもかなり痛い(>_<)!
でも低重力下ならば、回復具合に合わせて重力を変えながら無理なくリハビリメニューを組むことができます。

また、骨粗鬆症で継続的に運動を続けることが難しい方でも、自分の体にあわせて、低重力下で無理なく運動を続けられます。
結果として、適度な運動を継続して続けられるから長生きできる、なんてことも・・・?!

その場所の重力によりますが、もし保養所にスパ施設を併設した場合、お湯はうまく張れない可能性がありますので、その場合はシャボン玉のようにプカプカ浮いたお湯の中に入り込んで入浴することになります。

お風呂の入り方一つとっても、地上とは全然違う入り方になるのが面白いでしょう?!

宇宙スパ

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静止軌道より低い場所は低重力-KAIT式宇宙エレベーター構想(1)

さて、地上から静止軌道までの間は、地上から離れるに従って重力が低くなります。
そのため、「地上にいるときより体が軽くなる」、「ものが飛びやすくなる」ということが起こります。

その特徴を利用して、例えば低重力競技場をつくってみたらどうでしょうか?
ボールは重力が低いほど飛距離が伸びますから、野球やゴルフなどはビックリするほど球が飛んで爽快!
地上では難しかった宙返りだって、低重力ならば楽に出来ると思いますので、「オリンピックの内村航平選手と同じ技がやりたい!」と思い立ったら低重力競技場にGo!(笑)

0.1から0.9G(ちなみに地上は1G)まで、様々な重力の中で遊ぶことができると面白いかも知れませんね。

そのうち、低重力を使った新しい遊びが開発されることは間違いありません。

低重力サッカー2
低重力サッカー!?イラストはイメージです


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理論を踏まえて自由に発想してみる-KAIT式宇宙エレベーター構想(序)

ここまで紹介してきた知識を使うと、私たちにも宇宙エレベーター構想することができます?!

もちろん、材料の運送方法やテザーののばし方、テーパーをどの程度つけて、重量と長さをどの程度にするのか・・・といった技術的な問題は考えなければいけませんが、ここは一つ、ある程度の理論を踏まえて自由な発想で宇宙エレベーターを考えてみることにしましょう。

観測所をつくる、休憩所やホテルをつくる、月や火星へのロケット発着場をつくる・・・
宇宙エレベーターは、ワクワクするような楽しい構想ができます。

明日からは、私たちが考えた「KAIT式宇宙エレベーター」の構想をご紹介いたします。
宇宙エレベーターは、地球上とは違う環境だからできることがたくさんあるんですよ!
どうぞお楽しみに!!


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素材の違い-宇宙エレベーター特別教室(6)

もちろん、全体の質量を増やすことによって地球表面まで届かせることができます。

テザーの材料としてザイロン(ZYLON(R))を用いた時の数値解析の結果は、次の通りです。
・安全係数(安全のための余裕)を1とする(=全然余裕がない)
・全質量 398,000,000トン, 
・テーパー比 (静止軌道上の断面積/地球表面での断面積比) 9,700,000
・テザーの形を円柱とし、地球表面上での半径を0.5mmとする(断面積 0.00000025 m2 )→この場合、静止軌道での半径は 1.56m の太さ(断面積 2.43 m2 )にすれば、物理的に切れることはない。

理論的にはテーパー構造のテザーならばザイロンでも切れずに地球表面まで伸ばすことができますが、全質量が398,000,000トンでは到底実現できそうにありません。

そこで、カーボンナノチューブの出番となります。二つの図は、断面積一定テザーと応力一定断面テザーについて、上のほうがテザー長さ方向の応力の変化、下のほうが長さ方向の断面積変化を示しています。
応力一定断面テザーでは静止衛星高度約36,000kmのところで断面積が最大になっているのが分かるなど、二つのテザーの違いがよくわかります。

長さ方向の変化

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やっぱりカーボンナノチューブ?!-学生と考える宇宙エレベーター(23)

かなり大変な労力になりますが、全体の質量を増やせば地球表面まで「ひも」を伸ばすことができます。
その労力を考えると、やはりカーボンナノチューブは優秀な素材だと言わざるを得ません。

もし、ひも(テザー)の素材としてザイロン(Zyron(R))を用いたとすると、地上に届くように必要なザイロンの質量は、なんと398,000,000トン!
これでは何百年も宇宙に材料を運ばなければならず、途中で気持ちが折れてしまいそうですよね(^-^;)。

カーボンナノチューブの場合、これほどの質量は必要ないため、宇宙エレベーター開発には欠かせない素材の一つ、と言えます。

カーボンナノチューブとザイロンのような素材の違いについては、今回の「宇宙エレベーター特別教室」で数値を使ったシミュレーションを行っています。
ご興味のある方はぜひご参照下さい!


★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(素材の違い)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。
http://www.aeroastro-kait.net/

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実現可能な長さを計算してみる-宇宙エレベーター特別教室(5)

応力一定断面テザーでは一番力が働くところではテザーの断面積を大きくしますが、先に行くに従って力が余りかからないので細くすることができます。

しかし、応力一定断面テザーでもテザー全体の長さを大きくすると質量が大きくなります。ここではテザーシステム全体の質量を実現可能な範囲で仮定すると共に、その質量を基にテザー長を決定してみましょう。

H2-Aロケットで100回打ち上げに対して静止軌道へ運ぶことの出来る質量は250トンです。そこで、テザーシステム全体の全質量を250トン(250,000kg= [kg])とし、地球方向先端のテザー直径が1[mm]の円形のテザー(断面積 [m2])と仮定します。
また、このテザーシステムに用いる材料には破断長に優れ、現在このテザーシステムに利用可能であるアラミド繊維を使用するとし、アラミド繊維の破断長は1.25倍の安全のための余裕を考慮えて178.5kmとして考えてゆくことにしましょう。

このときに、計算によって求めたテザーシステム全体の断面形状は図のようになります。図はテザー先端付近までを応力一定という条件で解いたものです。

テザーシステム全体の断面形状

この図から、静止軌道から地球逆方向では、地球中心から120,000[km]先でテザー半径は0になってゆくことが分かります。
よって、アラミド繊維を用いて仮定した応力一定のテザーシステムの全長は約80,000[km]となる事がわかった。すなわち、この仮定した計算では、高度35,786kmの静止軌道から地球の方向に約20,000km近づき、半径0.5mmの細い先端がやっと地球表面から16,000kmくらいの高さにぶら下げることができることが分かりました。


[参考文献:小笠原 達規、「非常に長いテザーシステムの力学に関する基礎的研究(Study of Fundamental Dynamics of Very Long Tether System)」東京都立科学技術大学 工学部航空宇宙システム工学科平成16年度卒業論文、指導教員 藤井 裕矩、2004年2月7日]

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ロケット100回分の材料で宇宙エレベーターを作る?-学生と考える宇宙エレベーター(22)

ここまできたのですから、もう少し想像力を働かせてみましょう。

宇宙エレベーターができるまでの間、地上から宇宙まで材料を運ぶ手段はロケットに頼らざるをえません。
仮に宇宙開発事業団(NASDA)と後継法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工が開発したH2-Aロケットを100回打ち上げて材料を運ぶとしましょう。

H2-Aロケットを100回打ち上げて静止軌道に運ぶことの出来る質量は約250トンです。
この250トンの材料でどのくらいの長さの宇宙エレベーターができるでしょうか。

もし、宇宙エレベーターのひもの素材としてアラミド繊維(宇宙エレベーターのテザーシステムに利用可能、といわれている素材です)を利用した場合、静止軌道から地上に約20,000キロメートルくらい垂らすことができる、と考えられています。

静止軌道は地上から約36,000キロメートルですから、地上まで16,000キロメートルほど上にぶら下がっているひも、ということになります。

・・・なかなか厳しい数字がでてしまいました(^-^;)。

ちなみに詳しい数値シミュレーションの解説を、今回の「宇宙エレベーター特別教室」にて公開しています。
ご興味のある方はぜひご参照下さい!


★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(実現可能な長さを計算してみる)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。
http://www.aeroastro-kait.net/


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