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13年度航空宇宙プロジェクト-(藤井研1)『MEGANE7』

 前回ご紹介したとおり、本年度の航空宇宙プロジェクトは航空宇宙学専攻の偉大な3名の教授陣(藤井教授、小林教授、永尾教授)がそれぞれの異なったプロジェクトテーマを掲げ、それぞれ3つのチームに分かれプロジェクトを行っていきます。

 その中で、今回は藤井研究室(藤井研)のプロジェクトの様子をお伝えいたします。

13年度航空宇宙P(藤井研)02_チームMEGANE01

 本日のプロジェクトはまず、どのようなテーマにするのか決めるところから始まりました。日本宇宙エレベータ協会の大野会長がお見えになり、お話を頂くことができたこともあり「テザー」というキーワードをもとにプロジェクトのテーマを考えていきました。

 しかし、モデルロケットとテザーを組み合わせるのは容易なことではありません。

 もし、地上からテザーをロケットに繋げて打ち上げるとすると、
①ロケットがまっすぐ飛びかつテザーが絡まないで伸びてくれるか?
②ロケットの火力でテザーが焼き切れてしまわないか?

また、空中でテザーを展開しようとした場合は、
③パラシュートとテザーが絡まないか?
④モデルロケットの打ち上げには高度制限がある。

などといった様々な問題が出てきます。

 今回のプロジェクトはやや難しいのではないかと思われるかもしれませんが、初めにも言いましたが、『難しいことをやるのがプロジェクト!!』

 メンバーはリーダー、設計、渉外、会計などといった、役割をそれぞれ決め、それぞれ役割の責任者となってチームを盛り上げていきます。

 さて、プロジェクトのテーマについてですが、今回の授業時間中に決めることはできませんでした。先ほど挙げた課題をどう対処しテーマを決定するのか熱い議論していましたが・・・

 「地上からテザーを付けたロケットを飛ばし、糸を付けて飛ばした場合とどちらの方が伸びやすいかをみる」(②についてはロケットの接続部分(エンジン付近)に燃えにくい素材を使う)という案が出ましたが、より良いテーマで行いたいという思いから各自でもう少し考え、休みを返上して再びMeetingを行うことになりました!!

 さて、このプロジェクトでは具体的にどんなことをするのか?
 その準備のために何をするのか?
 万全の準備をしたつもりでも、どんな壁にぶつかるのか、そしてどうやって乗り越えるのか・・・?!
 プロジェクトの様子は、次回以降リアルタイムでお知らせいたしますのでご期待ください!

 最後になりましたが、タイトルにもある『MEGANE7』は今回のプロジェクトのチーム名です。7人の侍をイメージしているとかいないとか…
 では、来週もお楽しみに!!!

13年度航空宇宙P(藤井研)02_チームMEGANE02


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テーマ : 実験 科学 サイエンス
ジャンル : 学校・教育

13年度航空宇宙プロジェクト、始動!

皆さんこんにちは!
第一期生が3年次になる11年度から始まった航空宇宙プロジェクト。

第一回目の授業は学習目標の確認ならびにチーム編成を行いました。

13年度航空宇宙プロジェクト(初回01)

本年度の航空宇宙プロジェクトは航空宇宙学専攻の偉大な3名の教授陣(藤井教授、小林教授、永尾教授)がそれぞれの異なったプロジェクトテーマを掲げ、それぞれ3つのチームに分かれプロジェクトを行っていきます!
受講した学生24名全員が不安そうな顔をしながら熱心に質問し自分のプロジェクトを決定していました。

13年度航空宇宙プロジェクト(初回02)

藤井教授は「モデルロケットの立案から打ち上げ」、小林教授は「フライトシミュレータを用いた航空機の運動制御」、永尾教授は「航空機”革新”軽量構造プロジェクト」が大きなテーマになります。
どれも面白そうなテーマです!

13年度航空宇宙プロジェクト(初回03)

もちろん、プロジェクトですので、ミッションを学生自身が決めていきPDCA(Plan-Do-Check-Action)の楽しさ、難しさを体験していきます。

目的を明確にして、如何にすればより良くかつ効率的にその目的を達成できるかを考えぬく点がこのプロジェクト醍醐味!!

13年度航空宇宙プロジェクト(初回04)

さあ、今年の学生たちはどのプロジェクトにどのように取り組んで行くのでしょうか。
今後が楽しみです。

なお、「モデルロケットの立案から打ち上げ」は、森君、日野君、淺生君、村松君、落合君、茂木君、北野君の7人が挑戦します。
本年はこのプロジェクトを同時進行で週1回くらいのペースでお伝えして行く予定です。また、他の二つのプロジェクトも適宜ご紹介する予定です。乞うご期待!

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テーマ : 実験 科学 サイエンス
ジャンル : 学校・教育

次回から13年度航空宇宙プロジェクトのリポート、はじめます!

4月の入学式も終わり、新年度がはじまりました。

そして今年も「航空宇宙プロジェクト」を実施いたします!
次回から、2013年度航空宇宙プロジェクトのリポートをご紹介いたします。
今年はどのようなプロジェクトに取り組むのか・・・

ぜひご期待下さい!

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タイムマシーンと宇宙エレベーター、実現できるのはどっち?!―宇宙エレベーターの最新研究(17)

ミチオ・カク先生は「サイエンス・インポッシブル」(斉藤隆央訳、NHK出版)の中で、科学的に不可能とされているものには、三つのレベルがあるとしています。

不可能レベルIIIは、すでに知られている宇宙の法則を破る技術となるもので、永久機関や予知能力などです。未来のご神託、占いの世界など・・・
人気は高く、ホーキング先生たち専門達も未来予知について色々考えていますが、さすがにこれらは出来そうにないものです。

不可能レベルIIは、物理の世界で知られているものだが遥かに遠くの端のほうにある技術です。
ですから、非常に難しいが未来に絶対できないとは言えないものです。これには、タイムトラベル(タイムマシーンとか)、光速以上の速度、他の宇宙とのコンタクトなどのパラレルワールドなどが含まれます。

不可能レベルIは、現在では不可能と考えられていますが、すでに知られている物理法則を破っていないものです。
ですから、いずれ可能になると考えられるものです。
これには、不可視化(透明人間とか)、テレポーテーション(どこでもドアとか)、テレパシー、念力、ロボット、地球外生命とUFO、反物質と反宇宙などが含まれます。
宇宙エレベーターと星間宇宙船もこのカテゴリに入ります。

つまり、宇宙エレベーターはタイムトラベルなどSF性が高いものよりずーっと実現性が高い、と言えるでしょうか?!

宇宙エレベーターはSFだとされていましたが、このように考えてみると思ったより近い未来にあることが分かりますね。

宇宙エレベーター編の最後ですのでご参考までに、宇宙エレベーターの前でポーズをとるルドルフ11世(ルー君と呼んでください。)の写真をご紹介します。

ルドルフ号


Mmとはメガメートル(1,000キロメートルのこと、だといいます)。
宇宙飛行の服装をしているので多分先端の宇宙空港から火星に行くところでしょうか?!ルー君の宇宙エレベーター体験記「ルー君宇宙に行く」、いずれ皆様に報告できるかと思います。

皆さんと一緒に成功を祈りましょう!

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テザーの実験―宇宙エレベーター特別教室(15)

宇宙エレベーターで現在有力なテープ型テザーは2009年に日・欧・米・豪の国際プロジェクトT-Rex計画で伸ばした136メートルが宇宙最長記録であることはご紹介したとおりです。

次のグラフは、横軸に西暦年を、縦軸に宇宙で伸ばすことのできた長さを示したものです。
日本、米国、欧州の宇宙実験の記録が載せてあります。
この傾向から外挿すると、10万キロメートル(100,000,000メートル)が達成されるのは2040年ごろ、ということになるでしょう。

テープ型テザー伸張実験結果


ちなみに、宇宙テザーは1966年にジェミニ11号とジェミニ12号が伸ばした36メートルのテザーから始まりました。

自動車の安全ベルトのようなテープ・テザーを伸ばし、すでにおなじみだと思いますが地球の方にひもが引っ張られる重力傾度、そして、ひもにつないでくるくるとスピンさせて人工重力を作るという二つの宇宙実験を行いました。

いずれも搭乗していた宇宙飛行士が手伝ったのでテープ・テザーを伸ばすことができて、実験は成功しています。

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10万キロメートルのテザーができるのはいつ?―宇宙エレベーターの最新研究(16)

宇宙エレベーターの素材として有力なテザーは「テープ型」のテザーだと言われています。

このテープ型テザーは、2009年に日・欧・米・豪の国際プロジェクトT-Rex計画で伸ばした136メートルが宇宙最長記録です。

これまでの結果やその後の傾向を考えると、宇宙エレベーターに必要な100,000キロメートルの長さのテザーができるのは、2040年頃になるのでは?という説があります。
ちなみに、各国の実験の結果や予測シミュレーションは、本日の宇宙エレベーター特別教室にてご紹介いたしますのでご興味のある方はご参照ください。

ちなみに、通常のひも型のテザーの場合なら、20キロメートルくらいは比較的楽に伸ばすことが出来るようになりました。

ジェミニ11号とテザー
(写真は1966年にテザー伸張実験をしたジェミニ11号から地表の方に伸びたテザーとその先につけたロケットの一部です。http://en.wikipedia.org/wiki/Gemini_11より拝借しました。)

現在までのひも型のテザーの最長記録はESA(欧州宇宙機関)が国際共同で行ったYES2(ヤング・エンジニア衛星2号)で2007年9月に31.7キロメートル伸ばすことに成功しています。

これは、宇宙テザー長さの世界記録だけでなく、人類がこれまで宇宙で作った最大の構築物といえます。

 人類初の宇宙テザー実験の様子は、少し詳しい解説を宇宙エレベーター特別教室にてご紹介いたします。

★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(テザーの実験)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。
http://www.aeroastro-kait.net/


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宇宙エレベーター実現に研究すべきことのまとめ―宇宙エレベーターの最新研究(15)

宇宙エレベーターのプロジェクトは非常に大きいのに研究体制がまだまだ不十分です。
ここまででご紹介した、これから研究しなくてはならないものをまとめてみます。

まず、テザーの材料の問題。
必要な材料特性の解析と実現性の検討、さらに、100,000キロメートル長さのテザーの作り方などです。

他に、細かい要素として宇宙テザーを巻き込んでおいて繰り出すリール装置の設計が必要です。さらに危険が生じた時は、巻き取りが必要になるかもしれませんが、宇宙テザーの巻き取りの技術は非常に難しいのです。

次に、ライダーの推進法などを含めた設計や、何台をどのような方法で上昇・下降させるのかといった運航方法などです。

 地上基地も、地上、海上、または空中に浮かせるのか固定できるのか搭乗方法などを含めた地上基地の設計に問題が残ります。

宇宙エレベーター全体の運動の制御、テザーの端の設計、ねじれ運動の制御、そして切れた時の運動予測と対処方法(場合によっては巻き取り、または、送り出し、どこで捕まえてどのようにまとめるのか、など)を考えておく必要があります。

環境問題は、宇宙エレベーターシステムに対する放射線や真空環境などの脅威の検討と対処、地球や宇宙環境に与える影響の検討、人体に対する環境による脅威の検討と対処法、そして、なによりも今後増え続けると予想される宇宙デブリに対する対策が必要です。

何といっても、宇宙での経験は人類にとってはまだまだ少ないので、すべての危険性の検討と対処法を充分確かめておく必要があります。

さらに、宇宙エレベーターは非常に有利な宇宙開発の手段なので、国際的平和運用の法整備と人類のために役立つ運営方法の国際的な解決が必要です。

物理的な課題だけでなく、多くの人の理解が得られれば、まずは静止衛星軌道にある程度の長さの宇宙テザーを伸ばすことがでます。
このような準備段階をうまく構想する必要がありますが、研究が進んでゆけば、宇宙保健施設や宇宙老人ホームを作ったりして少しずつ伸ばしてゆけば、実現は決して遠くないと期待できます。


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宇宙エレベーターの事故@人命救助が重要課題―宇宙エレベーターの最新研究(14)

 宇宙エレベーターは人を宇宙に送り込むわけですから、何にもまして人命を守るということが重要で、充分に安全性を確保する必要があります。

 事故を起こしかねない低い高度では飛び交う航空機、ある高さ以上の高度では衛星・宇宙船、そして宇宙デブリとの衝突回避はぜひとも考えておかねばなりません。

 それだけでなく、人が乗っているステーションやライダーについては、万一の事故があったときの人命救出手法や、場合によっては地球などへの安全な帰還方法を確立しておく必要があります。

 さらに、地上では考えられないような強さの放射線や紫外線への対策も人命を守るためには必要です。
 宇宙エレベーターは強い電磁波がある電離層やヴァン・アレン帯(地球の磁場にとらえられた、陽子、電子からなる放射線帯)を突っ切っているからです。

 現在人間が滞在する宇宙構造物の一例である国際宇宙ステーション(ISS)に接近してドッキングする「こうのとり」などについては、非常に厳しい安全審査が行われています。
 宇宙エレベーターにも、これに匹敵する、あるいはそれ以上の厳しい安全審査が必要不可欠となります。

 また、切断などの非常事態に備えるだけでなく、そのほかの意味においても十分活用するためには、宇宙エレベーターは2機以上建設する必要があると考えられます。

 宇宙エレベーターが建設されたときに最も重要な設備の一つを挙げるとすれば・・・もう一つの、予備の宇宙エレベーター、でしょうか?!

 作り方としては、ちょうど地上でビルを建てるときに2つのクレーンが使われているように、二つで互いに協力して伸ばしてゆくことになるかもしれません。

 建設方法にしてもまだまだ検討すべきことは残されています。

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テザーが切れた場合のシミュレーション-宇宙エレベーター特別教室(14)

図は、オーストリアのポール・ウイリアム博士が、一部で宇宙エレベーターのテザーが切れたあとのテザー運動を数値シミュレーションしたものです。
 真中にある円が地球を示しています。

テザーが切れたあとのテザーの運動

 切断したところより上の部分は、徐々に地球から遠方に漂って行き、下の方の部分は地球に巻きついてゆく様子がおわかりいただけるかと思います。

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宇宙エレベーターの事故@テザーが切れる?!―宇宙エレベーターの最新研究(13)

 テザーの利点は、1)軽くて長い構造が構築できる、2)軽くて引っ張り強度の大きな構造が構築できる、そして、3)巻き戻すだけで簡単に構築できる、などがあります。

 しかし欠点としては、1)引っ張り強度は大きくできるが、押し付けるとたるむ、2)絡まる、3)引っ張りから離すと撥ね返る、そして、4)切れる可能性がある、などがあります。

 宇宙エレベーターの最悪のシナリオは「ひもが切れる」です。
 もちろん切れないように設計するのですが、万一切断した時の対策は十分考えておく必要があります。

 宇宙テザーでは、切断に備えていつでも「素早く巻き取れる」ことが重要です。

 素早い巻き取りは、切れたテザーなどが地球環境を破壊するのを防ぎます。
 もし中途半端なところで切れたら、巨大な「ムチ」になって地上にベタン!ということも考えられなくはないですよね。
 その「巨大なムチ」が都市部を直撃したら・・・なんて考えると、恐ろしい話です。

 また、素早い巻き取りは、切れたテザーの一部が宇宙デブリにならないようにするためにも必要です。
  
 テザーは常にレーザーなどの計測によって、万一切れた時には直ちにその場所を特定して事前に立てた対策に沿って対応する必要があります。

 本来切れないように設計されたテザーですからその扱いはかなり厄介なことになりますが、宇宙エレベーターシステムにとってはこのような最悪のシナリオを克服する必要があります。

 オーストリアのポール・ウイリアム博士が、一部で宇宙エレベーターのテザーが切れたあとのテザーの運動を数値シミュレーションした結果を、今日の「宇宙エレベーター特別教室」でご紹介いたします。
 ご興味のある方はぜひご参照下さい!

★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(テザーが切れた場合のシミュレーション)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。

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テザーが暴れる要因はたくさんある!-宇宙エレベーターの最新研究(12)

 宇宙エレベーターのように長大なテザーシステムが揺れたりブレたりする要因は風だけではありません。
 宇宙まで到達するわけですから、次のような力が働き、テザーが暴れる原因になります。

1)地表近くの部分では大気圏の雷、風などの天候の影響を受けて色々な力がかかる。
2)地球磁場と干渉することによって、電流が流れたり、余計な力がかかることがある。
3)太陽や月などほかの天体の引力が力を及ぼし、テザーが揺れる。
4)太陽や地球からの反射による放射線や太陽光による熱、その熱による加熱や原子酸素などの宇宙環境がテザーの材料変形などを引き起こし、テザーが揺れたり運動を乱したりする。
5)ライダーの上昇下降による力がテザーシステムに色々な運動を引き起こす。(コリオリの力)

他にもいろいろあるかと思いますが、宇宙エレベーターのように長大なテザーシステムでは、規則的な運動を乱す 様々な力に対してどのように対処するかを検討する必要があります。

 数時間にわたるゆっくりした運動を止めることは非常に難しいのですが、非常にゆっくりした運動をはじめとした「あらゆる振動」を制することが、宇宙エレベーター実用化に向けて避けて通れない道なのです。

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テザーの運動シミュレーション-宇宙エレベーター特別教室(13)

 宇宙エレベーターの長さは、CNTの長さのミリメートル単位で表すと10兆(テラ)ミリメートル(10,000,000,000,000mm=10*E13ミリメートル)にもなります。
 これほどの大きな数になると、成立性が疑われるとする学者もいます。

 また、これだけの長さになると、太陽発電衛星などのいわゆる大型宇宙構造物の数10キロメートルオーダーの大きさをはるかに超えるため、その運動は非常に複雑なものとなると考えられます。

 まず、カウンターウエイトのない長さ144,630キロメートルのテザーが直線を保ったまま地表を支点として赤道面内で振り子のような運動をすると考えましょう。このとき一度振れて元に戻るまでの時間、周期、は189時間かかります。
 すなわち約1週間以上で一振れする非常にゆっくりした運動になります。

 もちろんテザーはひもですから、部分ごとに小さな振動から大きな振動まで、色々な周期での運動をします。

 図は、このときの横軸に高度をとり、縦軸に横方向の振れ(変位)をとって、約30時間(100,000秒)ごとに変化する様子を示した数値シミュレーションの例です。

テザーの運動シミュレーション

 地上に固定された根元部分や、カウンターウエイトのついていない先端が複雑な運動をすることが分かります。
これを「尻尾を地上にくくりつけられた龍のよう」だと表現した人もいます。

 テザーが大きく暴れた時の制御方法と、地上のポート部分が固定できるのかなどは今後研究しなくてはならない課題であることがおわかりいただけるかと思います。

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暴れるテザーを制御するのはこれからの課題―宇宙エレベーターの最新研究(11)

 宇宙エレベーターの長さは、カーボンナノチューブ(CNT)の長さの単位・ミリメートルで表すと10兆(テラ)ミリメートル!というとんでもない数字が出てきます。

 これだけの長さになると、「本当にできるの?」という疑問と共に、一度ブレたり揺れたりしたときの「テザーの動き」が非常に複雑になるのです。

 例えば「おもり」(カウンターウエイト)のない長さ144,630キロメートルのテザーが直線を保ったまま地表を支点として赤道面内で振り子のような運動したらどうなるでしょうか?
 このとき一度振れて元に戻るまでの時間(=周期)はなんと189時間!
 びゅーん!と振れた最後、元の所に戻ってくるまでに1週間以上もかかる、非常にゆっくりした動きになるのです。

 しかもテザーは非常に長い「ひも」です。
 地上では無風状態でも、対流圏のような上空に行けば風が吹いている、ということもあるでしょう。そうなると、テザーの場所によって、ものすごく揺れる場所とそうでも無い場所がランダムにできることが予想されます。

 ですから、宇宙エレベーター実用化に向けて、テザーが暴風などの影響で大きく暴れた時や様々な揺れに対応する制御方法と、地上のポート部分との無理のない接続をする方法などを確立しなければなりません。

 これら揺れ方(運動)の問題は、今後研究しなくてはならない重要課題の一つです。

 テザーの揺れ方(運動)をシミュレーションした結果を、今日の「宇宙エレベーター特別教室」でご紹介いたします。
 ご興味のある方はぜひご参照下さい!

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ライダー上昇時の宇宙エレベーター全体の運動シミュレーション-宇宙エレベーター特別教室(12)

 ライダーの運動での問題点の一つは、ライダーがテザーを上昇下降するときまっすぐ上下方向に動かずテザーの鉛直方向から大きくずれてゆくことです。

 図は赤い点で表したライダーが4万キロメートルの柔軟なテザーを上昇して行くときの宇宙エレベーターシステム全体の運動を数値シミュレーションしたものです。
 横方向の距離を拡大してありますがテザーが大きく横方向に運動することが分かります。

宇宙エレベーターシステム全体の運動

 これは「コリオリ力」(コリオリの力)によるものです。
 宇宙エレベーターは24時間で一回転するように回転しています。このためまっすぐ上下に運動しようとすると宇宙エレベーターからずれてゆくのです。
 速度に比例して横方向に働く力でコリオリ力が働くためです。

 つまり、回転している非常に長くて柔らかいひもと、その上をひもに沿って運動する物体とが互いに干渉する非常に複雑な現象となります。

 このような現象を上手に制御して避けるなどの対策が必要になるので、ライダーについてはその駆動機構も含めて、益々の研究が望まれます。

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ライダーが動くとき、テザーは大きくぶれる―宇宙エレベーターの最新研究(10)

 ライダーの運動での問題点の一つは、ライダーがテザーを上昇下降するときまっすぐ上下方向に動かずテザーの鉛直方向から大きくずれてゆくことです。

 皆さんは「コリオリの力(ちから)」という言葉、聞いたことありませんか?
 中学か高校の物理の授業で習ったような・・・でも何?という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 「コリオリの力」とは、定義的には「回っている状態で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力の一つ」です。

 言葉で言うと難しいですが、簡単に「コリオリの力」を体験することができます。

 フィギュアスケーターのように回転しながら、辞書や雑誌(500グラム程度の「おもり」でOK)を持った手を「前にならえ」の要領で前に突き出したり胸元にしまったりを繰り返してみてください。

 例えば左回りに回転している場合、腕を前方に突き出す時には「おもり」が右方向に引っ張られるように感じ、腕を胸元にしまうときには左方向に吸い込まれるように感じるのではないでしょうか。
 この「おもり」の進行方向からみて右(横)にずれる方向に働いている見かけ上の力が、コリオリの力です。

 宇宙エレベーターは24時間で地球の周りを1周するように回転しています。
 しかも腕の長さどころではなく、最長(最上階)で地上10万キロメートルの距離のところに巨大な構造物がある状態で、ものすごいスピードで回っています。
 ですから、「コリオリの力」も、回りながら腕の曲げ伸ばしで感じる力よりもかなり大きくなること、想像できるかと思います。

 宇宙エレベーターを現実的に動かそうとすると、回転している非常に長くて柔らかい「ひも」と、その上をひもに沿って運動する物体が互いに干渉する非常に複雑な現象と向き合わなくてはいけないのです。

 このような現象を上手に制御して避けるなどの対策が必要になるので、ライダーについてはその駆動機構も含めて、益々の研究が望まれます。

 宇宙エレベーターシステム全体の運動を数値シミュレーションした結果は、今回の「宇宙エレベーター特別教室」に掲載いたします。
 ご興味のある方はぜひご参照下さい!

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宇宙でライダーを動かすための課題―宇宙エレベーターの最新研究(9)

地上でのライダー上昇実験は進んでいますが、宇宙での実用においてはまだまだクリアすべき問題点がたくさんあります。
例えばエネルギーの供給方法をどうするのか、エレベーターを動かしたときに発生する熱の放散方法などの、宇宙の真空環境等の影響をどのように解決するのか、さらに、新しい駆動方法を考え出す必要があるのではないか―

地上では当たり前のように出来ていたことでも、宇宙環境では全く違う解決方法が求められますが、これらの課題はこれから解決していくことになるでしょう。

例えば、ライダーの駆動方法に「リニア―モーター」を使う方法も考えられています。日本は世界に誇る新幹線の技術がありますので、これを応用することも考えられます。
銀河鉄道999の発想もありますね。宇宙エレベーターに関して、日本技術がここにも活躍できれば素晴らしいですね。

このような努力が将来の宇宙エレベーターライダー技術のもとになることは間違いありません。興味のある方は日本宇宙エレベーター協会のホームページをご覧ください(http://www.jsea.jp/)。

テザーを登るライダー
画像提供:JSEA(日本宇宙エレベーター協会)http://www.jsea.jp/



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地上でのライダーの上昇実験は進む―宇宙エレベーターの最新研究(8)

 宇宙でのライダーの実験はまだ実現していませんが、地上でのライダーの実験は着々と進んでいます。

 日本宇宙エレベーター協会では、大きなバルーンから800メートル以上の長さのテザーをつりさげ、このテザーを登るライダー(クライマー)の競技会を2009年から開催しています。

 毎年記録が向上していますが、現在、時速80キロメートル程度の上昇速度を記録しています。
 東京スカイツリーのエレベーターの速度は時速36キロメートル(分速600メートル)だそうですから、その倍以上の早さで動けることがわかるかと思います。

 もっとも、現時点では、地上から36,000キロメートルの静止軌道上に到達するには450時間=約19日もかかってしまいますから、まだまだ研究が必要ですね(^-^;)。

 現在では時速200キロメートルくらいが達成できるのではないかと期待されています。これが可能なら約1週間程度で静止軌道まで行けることになります。

 それでもかなり長旅になるので途中で駅弁を調達しなければ、などの問題もいろいろ出てきますね?!
 いっそのこと、長旅を楽しむために、エレベーターでは3食の食事がサービスされ、プールやカジノなどの娯楽施設も使い放題、といった豪華客船みたいなサービスがあっても面白いかもしれません。


実は、わが神奈川工科大学でも2012年にロボット・メカトロニクス学科の有志(大学院生、大学生)がテープ型のテザー上昇競技において750メートルの最高上昇高度を記録しています。
ライダーも 、実用化に向けて地道な実験が続けられているのです。

 宇宙エレベータ技術競技会から「ベストクライマー賞」を受賞
ニュース|神奈川工科大学ウェブサイトより「ロボット・メカトロニクス学科、宇宙エレベータ技術競技会から「ベストクライマー賞」を受賞」

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エレベーターだから、ものを運ぶ「ライダー」の研究も必須―宇宙エレベーターの最新研究(7)

さて、宇宙「エレベーター」というのですから、ひも(テザー)だけでは成り立ちません。
テザーの上を地上から宇宙へ、「もの」(ペイロード)を運ぶ何かがないと、エレベーターとは言えませんよね。

これを最近では「ライダー」と呼ぼう、と言われています。(「クライマー」と呼ぶこともあります)
宇宙エレベーターでは、宇宙にペイロードを運ぶライダーの役割は非常に重要になります。これから少しの間ですが、ライダーの最新研究についてお話しいたします。

テザーに一番大きく力がかかるとき、それは地上からライダーが上昇を始める時です。
この瞬間、ライダーには初動の加速度に加えて最大の重力加速度もかかっているからです。

ですから、テザーはその力に耐えられるように設計しなければなりません。ひも型になるのがいいのか、あるいはテープのような形がよいのか・・・これは今後も検討すべきポイントになります。

 テザーの話に脱線しましたが(テザーは重要なんですよ!)話を元に戻して、ライダーはどのようにテザーをよじ登り方っていくのでしょうか?

いろいろな考え方がありますが、現在多くの人々が考えている方法は、ローラーで両方向からはさみつけ、ローラーを回転させて移動してゆく方法です。

「1km程度の長さのテザー衛星の計画(MAST: MULTIAPPLICATION SURVIVABLE TETHER)」で、テザー上を移動するメカニズムとして考えられたのが、次の図のようなものでした。
かなり簡略化された図なのでわかりにくいかもしれませんが、上から下に向かって「ひも」のようなものが張ってあり、真ん中の箱のようなもの(これが「ライダー」です)が「ひも」を丸いローラーで挟んでいるのが見えるかと思います。

宇宙ライダー

初の宇宙ライダーとしての実験プロジェクトでしたが、残念ながらテザーの伸展がうまくゆかず走行実験は出来ませんでした。

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日本の「組紐(くみひも)」技術が宇宙エレベーターを救う?!―宇宙エレベーターの最新研究(6)

ここでもう一度、カーボンナノチューブの形状について見てみましょう。

CNTの形状

単層カーボンナノチューブの場合、分子欠陥があれば強度は劣化します。
そこで、短いカーボンナノチューブ(CNT)を編んで長くすることができれば、いくつかのCNTの間で力が分け合うので単層カーボンナノチューブのような強度の低下は避けられるのではないかと考えられています。

これまでは、CNTを編みこむことによって10メートル単位の長さにすることはできるのですが、せいぜい1メガユーリ程度の強度しか得られていませんでした。
しかし、最近この記録を塗り替える成功がどんどん報告されており、20メガユーリくらいの強度で1000キロメートル以上の長さのものが夢でなくなりました。

強度の成長が続き、編み込みの技術が進歩すれば大いに期待できると思われます。

さて、編み込みの技術といえば日本古来の組紐(くみひも)!
編みこみの手法は古くから日本固有の織物の技術として発展してきました。
もしかしたら、日本古来の技術が宇宙エレベーターに応用されて成功するかもしれませんよ?!

テザー一つとっても課題は山積みのように思われるかも知れませんが、今までの技術の進歩を考えると、プロペラ推進からジェット推進に技術が飛躍したように、ある時点で新しい技術が現れてきて飛躍的に進歩したことを私たちは知っています。

飛躍的な進歩も期待すれば、10万キロメートルのテザーの完成は意外と近い未来だったりするのかも?!

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カーボンナノチューブは単純に伸ばすのも大変!―宇宙エレベーターの最新研究(5)

それなりの強度をもったカーボンナノチューブが10センチ、ということでしたが、「とりあえず伸ばせるだけ伸ばしてみよう!」という試みも、カーボンナノチューブの研究者にとって実は大きな課題だったりします。

1991年に飯島先生によって発見されたカーボンナノチューブ、発見されて以来単層カーボンナノチューブの製造長さは伸び続けています。

発見当時のカーボンナノチューブ長さは、何と千分の1ミリメートル(0.001ミリメートル)!
こんな小さな素材で、宇宙エレベーターの可能性を見いだすのですから驚きますよね。

それが2004年までは1ミリメートル以上の長さが当たり前となりました。
最近までにMIT(マサチューセッツ工科大学)、ケンブリッジ大学、清華大学などの成果が20~30センチメートルの長さカーボンナノチューブを生み出しています。

この発展は、ほぼ毎年2倍!ずつ長さが伸びていることになります。

突然ですが、豊臣秀吉から褒美をもらう曽呂利新左衛門の話をご存じですか?
「秀吉から褒美を下される際、何を希望するか尋ねられた新左衛門は、今日は米1粒、翌日には倍の2粒、その翌日には更に倍の4粒と、日ごとに倍の量の米を100日間もらう事を希望した。

米粒なら大した事はないと思った秀吉は簡単に承諾したが、日ごとに倍ずつ増やして行くと100日後には膨大な量になる事に途中で気づき、他の褒美に変えてもらった。」(ウィキペディアより)
という話です。

ちなみに2の100乗は10の30乗という驚くべき大きさになります。

もしも、「カーボンナノチューブの長さ2倍成長」が今後も期待できるとすると、2020年代には100メートル級の長さが達成できることになります。

それにしても、宇宙エレベーターの先端までの10万キロメートルとなると、今日の明日にできるようなものではないですね。

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長さと時間の壁―宇宙エレベーターの最新研究(4)

2011年現在、最強?!を誇るカーボンナノチューブは100メガユーリ以上の強度を持った長さ10センチメートル以上の単層カーボンナノチューブです。

・・・というように、残念ながら研究はかなりのスピードで進んでいるとはいうものの、卓上定規で測れるくらいの長さが最新の状況。
しかも、短時間ならこの強度が出る、という数値ですので、現時点では長時間には耐えられないようです。

宇宙で使うとなると、長さだけでなく、長時間その環境に耐えることも必要になりますから、実用化に向けて、まだまだ研究開発が必要と思われます。

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テザーの強度は毎年10%の成長率?!―宇宙エレベーターの最新研究(3)

カーボンナノチューブを断面で見るとその形状によって「シングル(単層)」、「ダブル(二重)」、そして「マルチ(多層)」のナノチューブに分けることができます。ちょっとトイレットペーパーみたい・・・なんて思わないで下さい(^-^;)。

CNTの形状

このうち、「シングル」(=単層カーボンナノチューブ)は、2000年にはすでに20メガユーリが達成されています。
達成した!と言っても、直径は1ミクロン以下で長さはせいぜい1ミリメーター以下でした。

しかし単層CNTの強度は、驚くべきことに、ほぼ毎年1.1倍で伸びてきています。毎年1割の成長は素晴らしいですよね!
2011年には、100メガユーリ以上の強度を持った長さ10センチメートル以上の単層カーボンナノチューブの達成が報告されています。
[Zhang, R. et al (2011) “Superstrong Ultralong Carbon Nanotubes for Mechanical Energy Storage”, Adv. Mater., Vol 23 No 30, pp. 3387-3391.]

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宇宙エレベーターに必要なテザーの強度はどのくらい?―宇宙エレベーターの最新研究(2)

前回、新しい?!強度を示す単位「メガユーリ」の話をしたので、今回はテザーの強度の研究がどの程度進んでいるのかをご紹介いたします。

宇宙エレベーターに使うテザーは、エドワード博士の技術的な検討が始まった2002年から今まで素晴らしい進歩があり優れた成果が得られています。

宇宙エレベーターに必要なテザーの強度は最低でも25から30メガユーリ、できれば40メガユーリくらいは欲しいところ、と言われています。

CNT(カーボンナノチューブ)の研究者たちによると、宇宙エレベーターとして使える最低の25メガユーリなら10年以内で出来るが、このためには、先細り(テーパー比)を極度に大きく取るなどの工夫をし、かつ、かなり研究なども頑張る必要があると言われています。

ものすごい先細り構造ではなく、あくまでも常識の範囲内?!の先細り(テーパー比が5程度)の場合に必要な強度は35メガユーリ程度と言われています。
これも、あまり遠くない将来に手に入るのではないか、と言われています。

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センチメートル、キログラム・・・だけじゃない!新しい単位「メガユーリ」が生まれる予感?!―宇宙エレベーターの最新研究(!)

宇宙エレベーター実用化に向けての大きな課題の一つであるテザーの材料。
ある程度の理論的なめどはついているものの、実際に「これならば!」という現物は研究中の段階です。

テザーの材料を検討するにあたって、考えなくてはいけないのがテザー強度ですよね。
以前にもご紹介したとおり、並みの素材では「ひも」を垂らすだけで自分の重さで切れてしまうわけですから軽くて丈夫なことが大前提です。

ですから、「強度」がどのくらいかを、わかりやすく、客観的な数値で!
示すことは、研究を進める上でとても重要なのです。

そこで、「宇宙エレベーターハンドブック」(2013年刊行予定)の中心的な著者であるピーター・スワン博士たちは、強度の表現(単位)についてMyuri (メガユーリ)で表すことを提案しています。

「ユーリ」とは、宇宙エレベーターを構想したユーリ・アルツターノフの名前から取っています。

結論だけ申し上げますと、引っ張りに耐える力(応力)が同じテザーならば、軽い方が丈夫だよね(=数値が大きくなる=強度が高い)、という単位になります。
少し難しい話になりますが、引っ張りに耐える力(応力)にテザー自体の質量を加味した単位、みたいなイメージです。

支える質量がほとんど自分の質量となる宇宙エレベーターならではの特性をふまえた単位、と言えるかも知れません。

実はこの単位、まだ国際的に採用されたわけではない「知る人ぞ知る?!」単位なのです。
いずれ「宇宙エレベーター特別教室」でご紹介できれば・・・
と思っておりますので、気長にお待ち下さい(^-^;)。


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次回からは、宇宙エレベーターに関する最新の研究成果についてご紹介します!

これまで宇宙エレベーターを巡る宇宙の物理のお話をしてきました。
地上とは違う環境で正確な運用を求められる宇宙エレベーター、その実現に向けて、日々努力を重ねる研究者がたくさんいます。

次回からは、宇宙エレベーター実用化に向けての最新の研究成果について少しずつご紹介してまいります。
これさえ知っていれば、宇宙エレベーターのコアなマニアと言われること間違いなし!?かもしれませんよ(^-^)。

最新研究ゆえに、発信するほうも日々勉強、勉強!
少しでも楽しく、わかりやすくお伝えできるよう、頑張ります。どうぞお楽しみに!

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