テザー衛星のつりあいの原理-宇宙エレベーター特別教室(1)-

テザーは「ひも」状のものです。
「ひも」は、両端を引っ張る力が働くと直線の形を保ちますが、引っ張る力がゼロになるか、押されると直線の形を保たずにぐにゃぐにゃになってしまいます。

したがって、テザーには常に両端を引っ張る力が掛かっている必要があります。
いま、地球の周りの円軌道上にある質量が充分大きな衛星(母衛星)から別の衛星(子衛星)がテザーでつながれている時のつりあいを考えてみましょう。

テザー衛星の原理

人工衛星の原理によって母衛星では遠心力と地球の引力はつりあっています。
次に、地球中心と母衛星の質量中心を結ぶ線上の母船から上方にあるAのような子衛星での力のつりあいを考えてみます。

地球から遠くの点Aでは軌道の半径が大きくなります。
遠心力の大きさは腕の長さ(軌道の半径)に比例するから、遠心力は母衛星の場所よりもAでは大きくなります。
その結果、軌道の上方に引っ張る力が大きくなるのです。

さらに、地球から遠くなるから引力(大きさは距離の二乗に反比例する)は小さくなります。
すなわち、Aの点ではこの大きくなった遠心力と小さくなった引力の差として母衛星から遠くの方向(軌道の半径が大きくなる方向)に力が働くからテザーには上側に引っ張る力が働くことになります

逆に、母衛星から下方にあるBのような子衛星では地球からの腕の長さ(軌道の半径)が小さくなるので、遠心力は小さくなり、地球に近づくから引力は大きくなります。
このためにBの点では地球の方向(軌道の半径が小さくなる方向)に力が働き、テザーには下側に引っ張る力が働くことになります。

その結果、これらの力によってテザーは鉛直に上下両側から引っ張られます。長いひもを軌道上におくとひもは鉛直に軌道の上下に伸びることになります。

これが「テザー衛星のつりあいの原理」であり、ある軌道上にある人工衛星の地球方向、またはその反対方向にテザーでつなげた子衛星を置いてやるとテザーを両端で引っ張る力が働きテザーはその直線の形を保つことが出来ます。

このことは、地球中心と母衛星を結ぶ鉛直線上のどの点でも成り立ち、母衛星から地球方向の位置では地球の方向に力が働き、母衛星から地球と反対方向にある位置では地球と反対の方向に力が働くことになります。
また、この力は母衛星の近くでは小さく、母衛星から離れるほど大きくなることになります。

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