実現可能な長さを計算してみる-宇宙エレベーター特別教室(5)

応力一定断面テザーでは一番力が働くところではテザーの断面積を大きくしますが、先に行くに従って力が余りかからないので細くすることができます。

しかし、応力一定断面テザーでもテザー全体の長さを大きくすると質量が大きくなります。ここではテザーシステム全体の質量を実現可能な範囲で仮定すると共に、その質量を基にテザー長を決定してみましょう。

H2-Aロケットで100回打ち上げに対して静止軌道へ運ぶことの出来る質量は250トンです。そこで、テザーシステム全体の全質量を250トン(250,000kg= [kg])とし、地球方向先端のテザー直径が1[mm]の円形のテザー(断面積 [m2])と仮定します。
また、このテザーシステムに用いる材料には破断長に優れ、現在このテザーシステムに利用可能であるアラミド繊維を使用するとし、アラミド繊維の破断長は1.25倍の安全のための余裕を考慮えて178.5kmとして考えてゆくことにしましょう。

このときに、計算によって求めたテザーシステム全体の断面形状は図のようになります。図はテザー先端付近までを応力一定という条件で解いたものです。

テザーシステム全体の断面形状

この図から、静止軌道から地球逆方向では、地球中心から120,000[km]先でテザー半径は0になってゆくことが分かります。
よって、アラミド繊維を用いて仮定した応力一定のテザーシステムの全長は約80,000[km]となる事がわかった。すなわち、この仮定した計算では、高度35,786kmの静止軌道から地球の方向に約20,000km近づき、半径0.5mmの細い先端がやっと地球表面から16,000kmくらいの高さにぶら下げることができることが分かりました。


[参考文献:小笠原 達規、「非常に長いテザーシステムの力学に関する基礎的研究(Study of Fundamental Dynamics of Very Long Tether System)」東京都立科学技術大学 工学部航空宇宙システム工学科平成16年度卒業論文、指導教員 藤井 裕矩、2004年2月7日]

テーマ : 実験 科学 サイエンス
ジャンル : 学校・教育

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