楕円の軌道に働く力-宇宙エレベーター特別教室(11)

地球は完全な球形でなく、赤道面が膨らんでいるのに対して地球の北極と南極で輪切りにしたとき、上下に僅かに平べったく、極点は赤道よりもほぼ21km地球中心に近い。ちょうど西洋ナシのような形をしていると言われます。

さらに、地球を赤道面で輪切りにすると楕円形をしています。実際には衛星の位置をずらすように働くように色々な外乱が加わっていますが、そのうち主な要因は地球の赤道面が楕円であるために生じています。

地球の赤道面は大体西経11.5度と東経161.9度の方向に長軸を持ち円から65mずれているような楕円です。
ほんの僅かと思われますがこのため、図に示すように静止衛星軌道上で衛星には地球断面の長軸の方向に引っ張るような力が働いて、軌道上に加速することになります。

楕円軌道に働く力

軌道上に引っ張る力が働いて、軌道速度が増えると、ケプラーの法則によって軌道の周期が長くなります。
周期が長くなるということは力が働いて加速するのと逆の方向に軌道がずれるということなので、引っ張る力と逆の方向に軌道がずれることとなります。
この逆も真ですので、軌道は図の力がかかる方向と逆の方向にずれようとします。

この引っ張る力の大きさは、静止衛星の地球上の経度位置に依存します。
そして、図の西経11.5度,105.3度、東経75.1度、そして161.9度の位置ではこのような力が釣り合っています。

このうち地球の長軸の方向西経11.5度と東経161.9度の近くでは軌道はずらす方向に働くので静止衛星は離れてゆくこととなります。
一方、短軸の方向東経75.1度と西経105.3度の位置の場合、軌道のずれは静止衛星の位置を元に戻すように働きます。このためこの位置は静止衛星が離れてゆかない安定な平衡点であることが分かります。

したがって、静止衛星はこのような外乱に対して推力を用いて、高度だけでなく東西方向にも軌道を保持していますが、推薬がなくなると、すなわち、寿命が終わるとこのような外乱によって徐々に東経75.1度と西経105.3度の位置に集まってゆきます。

これが静止衛星の墓場となります。
日本上空(東経135度)に挙げた静止衛星は軌道保持のための推薬が無くなればインド上空(東経75.1度)に徐々に動いてゆくことになります。
だから、メキシコやアメリカ(西経105.3度)とインド上空は軌道保持のための推薬が節約出来るけれども、他の用済みの静止衛星も集まってくるところとなる面白い場所でもあります。

宇宙エレベーターの建設位置として考えると、もっとも自然にとどまってくれる建設地はこの2点ということになります。

テーマ : 実験 科学 サイエンス
ジャンル : 学校・教育

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