ライダーが動くとき、テザーは大きくぶれる―宇宙エレベーターの最新研究(10)

 ライダーの運動での問題点の一つは、ライダーがテザーを上昇下降するときまっすぐ上下方向に動かずテザーの鉛直方向から大きくずれてゆくことです。

 皆さんは「コリオリの力(ちから)」という言葉、聞いたことありませんか?
 中学か高校の物理の授業で習ったような・・・でも何?という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 「コリオリの力」とは、定義的には「回っている状態で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力の一つ」です。

 言葉で言うと難しいですが、簡単に「コリオリの力」を体験することができます。

 フィギュアスケーターのように回転しながら、辞書や雑誌(500グラム程度の「おもり」でOK)を持った手を「前にならえ」の要領で前に突き出したり胸元にしまったりを繰り返してみてください。

 例えば左回りに回転している場合、腕を前方に突き出す時には「おもり」が右方向に引っ張られるように感じ、腕を胸元にしまうときには左方向に吸い込まれるように感じるのではないでしょうか。
 この「おもり」の進行方向からみて右(横)にずれる方向に働いている見かけ上の力が、コリオリの力です。

 宇宙エレベーターは24時間で地球の周りを1周するように回転しています。
 しかも腕の長さどころではなく、最長(最上階)で地上10万キロメートルの距離のところに巨大な構造物がある状態で、ものすごいスピードで回っています。
 ですから、「コリオリの力」も、回りながら腕の曲げ伸ばしで感じる力よりもかなり大きくなること、想像できるかと思います。

 宇宙エレベーターを現実的に動かそうとすると、回転している非常に長くて柔らかい「ひも」と、その上をひもに沿って運動する物体が互いに干渉する非常に複雑な現象と向き合わなくてはいけないのです。

 このような現象を上手に制御して避けるなどの対策が必要になるので、ライダーについてはその駆動機構も含めて、益々の研究が望まれます。

 宇宙エレベーターシステム全体の運動を数値シミュレーションした結果は、今回の「宇宙エレベーター特別教室」に掲載いたします。
 ご興味のある方はぜひご参照下さい!

★この記事の「宇宙エレベーター特別教室」(ライダー上昇時の宇宙エレベーター全体の運動シミュレーション)を、「[神奈川工大機械工学科航空宇宙専攻★公式ブログ]宙(そら)をめざせ!」にて公開中です!
数値シミュレーションの結果や物理の専門用語などを用いた詳しい解説を行っています。

http://www.aeroastro-kait.net/


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